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酔って、潰れて、気が付いたらホテル。
この程度の良い部屋を用意してもらったのは初めてだけど、それ以外は良くあることだ。
何も珍しい事じゃない。
潰れた私を持て余して休むためだけに連れてこられたのか、それとも『する』ためなのかは男の顔を見てみないと分からなかった。
どちらでも良いと思った。
あからさまに由紀ちゃんのことを引きずってさえいなければ、あれはイイ男だ。
酔った勢いに任せて抱かれても構わないし――なんなら一晩くらい、彼女の『代わり』を務めてやらなくもない。
そう言えば彼女に手を出したようなことを言っていた。
あの子がどんな風に鳴くのかなど知らないが、別に真似してやってもいい。
彼がそれを望むのなら、別に。
元より出会った瞬間に、セフレがいて、それを友達と共有して、そればかりか本気になった彼女に相手を取られた、なんていう情けなくて惨めで恥ずかしい過去を知られてしまっている。
元々そういう女だと思われているのだ、別に今さら傷は付かない。
真面目でカタくて誠実だと思い込んでいたあの男だって、他の男を想う由紀ちゃんに手を出す様な人だったのだからお互い様だ。
お互いしこたま飲んだ後だ。
もし彼が後になって後悔することになっても、こっちは忘れてしまったことにすればいい。
無かったことにするのは簡単で、――慣れている。
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