second X'mas

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「なんだ、本当に来たのか」 仕事も終わって20時、早足で向かった、藤沢駅前。 正確に言えば北口地上デッキの喫煙所、灰皿横だ。 一応はターミナル駅だけあってロータリーから周辺のショップからそこそこのイルミネーションに飾られてはいるものの、この一角に限っては色気も何もあったもんじゃない。 自分で召集かけたクセに、その男は私を見るなりそう言って鼻を鳴らした。 「クリスマスだってのに、淋しい女だな」 「げろん。クリスマスに失恋決定した淋しいおっさんには言われたくないしぃ」 軽口で返せば、苦笑と舌打ちが戻ってくる。 「おっさん言うな、2個しか変わらんでしょ。そもそもあんたの存在が誤算だったんだ、責任取れよ」 「2個も違えば十分おっさんよ。全ッ然私のせいじゃないけど、可哀相だから慰めてあげる」 前日に初めて顔を合わせた男だった。 その前からしばらくSNSでやり取りしていたので、あまり隔たりは感じない。 SNSって言っても別に出会い目的ではない。 私たちは、スノボという健全な共通の趣味で繋がった。 彼は新しく立ち上げたばかりのスノボサークルの管理人で、私はそこのメンバーで、前の日にサークルの初滑りイベントで顔を合わせたばかり。 ただそれだけの関係――のような、それだけじゃないような。 少なくとも、クリスマス当日にいきなり『朝まで飲むから出てこい』と言われて、のこのこと出ていく程度の気安さは感じる相手だった。
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