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ふ、と、彼が小さく笑った気がした。
自嘲なのか、それとも私を嗤ったのか。
腰にまわった手が片方、すりと背中を伝って上る。
引き寄せられるままに身体が密着して、喉元を舐められると小さな声が漏れた。
そんなことをするから、『その気』になったのかと思ったのに――
「据え膳ならいただくけど。『代わり』なら、辞めとく」
「――は?」
なんで?
だって。
「……私じゃ勃たないクセに」
「だからマジで、酒のせいだって。不能扱いするのヤメテもらえますかね」
「……年寄りめ」
「それも嫌。次オッサンって呼んだら本気で犯すぞ」
「良く言うわ、使い物にならないモノぶらさげて」
「お前……」
つい直前まであったはずの『空気』が、一瞬で霧散した。
そもそもソレが本当にあったのかどうかすら怪しいほどに、自然に。
苦笑いを浮かべた男が、私の鼻を摘まむ。
抵抗すると、そのままするりと膝の上から降ろされた。
「『代わり』なんて軽々しく言うなよ。結構きちーぞ。お前女なんだから、尚更」
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