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――男を、信じられなくなったのはいつ頃からだっただろう。
1人目2人目と、立て続けに良い様に騙されて裏切られた頃か。
それとも、初めて痴漢にあった中学生の頃からその片鱗はあっただろうか。
簡単には信用しない。
けど大人になるにつれて、中途半端に、人肌の温もりを覚えてしまったから。
心を開く前に身体を開く、ことが。
いつの間にか当たり前に、なっていて。
本気になるのはいつだって抱かれた後で。
その時にはもう、相手にとっては都合の良い女に成り下がっているのに。
傷付いてなどいない。
騙されたわけでも、利用されたわけでもない。
お互い合意の上でただ、一時の欲を満たし合っただけ――そう言い聞かせて、そういう女のふりをしていれば楽だった。
泣かなくて済むから。
溺れなくて済むから。
だって私は最初から恋なんか、してないんだから。
ずっとそうやって、きたのに。
「なんでそんなに虚勢張ってる? 本当は怖いクセに。あの友達に取られたっていうセフレ、割り切ってたとか嘘なんだろ」
――克之のことが、確かに好きだった。
なんでこの人には、分かってしまうのだろう。
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