second X'mas

36/40

101人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
5月の連休の春滑りが、サークルの滑り納めイベントだった。 ウィンターシーズンに特化した集まりである私たちは、当然のごとくそれをもって一時解散する。 『じゃあまた、来シーズンに!』 そんな、実にあっさりとした挨拶だけを残して。 数ヶ月、会わない。 きっと連絡も来ないだろうし、私もするつもりはなかった。 その間に、この気持ちを清算しようと思っていた。 ウィンターシーズンの終了と共に、終わりが訪れる。 ひと冬の恋――実に私らしい。 私らしからぬ始まり方をして、私らしからぬ、続き方をしてきたけれど。 元に戻るだけだ。 彼が『可愛い』と言ってくれた『すっぴん』とやらを捨てて、また軽薄な女の鎧を着ればいいだけの話。 簡単なこと、のはずだった。 なのに、ずるずると1ヶ月ほども聡史のことばかりを考える日々が続いて。 いい加減断ち切ろうと、適当な誘いに乗ってきそうな男の連絡先を求めてメモリをスクロールしていた時だった。 SNSから新着コメントの報せが鳴る。 探し求めていた相手はただ1人だったのだと、画面を開いて思い知らされる。 >みどり、マリン系はやらない? ――卑怯だ。 繋ぎとめておくようなはっきりした言葉や態度も見せやしないくせに、自由にしてくれる気もないのだ。 或いは本気で、気兼ねない良い友達だとでも……ただの友達だとでも、思われてるのか。 友達とすら思われてなくて、一切の連絡が絶たれるのとどちらが辛いのか。 もう、分からない。 サークルで夏のイベントでもするつもりなのかと思った。 だけどそれは、個人的な誘いだった。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加