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お見合い話を断るため、という口実はあれど、『ちゃんと付き合ってる彼女がいるから』と親にまで紹介されて。
結局ウォータースポーツのシーズンが終わってからウィンターシーズンに入るまでの狭間の時期だって、私たちは当たり前のように頻繁に会っていて。
シーズンインして活動再開したサークルでは、とっくに公認カップルのような扱いを受けていて。
――今はまだ。
きっといつかは。
……そう言いながら私は、一体いつまで『タイミング』を待っているのだろう。
この関係の居心地の良さに甘んじているのは、それが壊れるのを、傷付くのを恐れているのは。
『あの夜』の意味をはかりかねて臆病になっているのは、なかったことにすることで守りに入っているのは。
……本当に私だけ、なのだろうか。
タイミングを、待っているのは。
とっくにイルミネーションが、街を彩っていた。
2人の曖昧な関係だけを置き去りにして、季節は止まらずに一周してしまったのだ。
>24日、20時、藤沢駅前。
私から誘うのは、それが初めてのことだった。
二度目のクリスマスがやってくる。
先に外堀を埋めたのは聡史の方だ。
期待を抱いた私が悪いとは、本気になった私が馬鹿だったとは……もう、言わせない。
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