second X'mas

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「私だってねぇ、据え膳も食えないようなヘタレた男はこっちからお断りよ!」 どうしたって、甘いムードを醸す気はないらしい。 別にそれを期待して来たわけでもないけど、ここまでとなると沽券の問題だ。 あくまで女扱いしないなんて、とことん癪に障る男! 「言っとくけど据え膳は食うよ、俺」 なんて言って、けろりとした顔で、目の前の男は据え膳ではなく焼き鳥を食ってる。 失恋の傷心なんか微塵も感じさせないこの平然さが、くそムカつく! 「好きな女と一晩過ごして手も出せなかったクセに、よく言うわ」 無駄に体面飾るのをやめ、足をあぐらに組み替えて中ジョッキを呷ってからそう言い放った。 言い放ってから――ちょっとだけ、良心が痛んだ。 それだけ彼はあの子に本気で、真面目で優しくて、誠実だった。 ……ってことなのだ、多分。 出会って2日目の男の呼び出しに、のこのこ出てきたのは別に食われるためではない。 この男は食わない、という確信があった。 言っても適当な男に適当に食われ慣れてる女の立場としては、だから信用して安心して、というワケでもなくて。 その堂々たる誠実な愛も、実らなければなかったも同じこと。 だったら私が、その確固たる想いを揺るがしてやる――ことが出来るのか、どうか。 試してみたくなった、ちょっとした興味。 ただそれだけだ。 初っ端から出鼻くじかれまくりで、もうそんな気も失せてしまったけれど。
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