second X'mas

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「……別にリンゴスター意識してるわけじゃないし、ハンネもそういう意味じゃない」 「へえ、どんな意味?」 「むしろ意味などない」 ばっさりと切り捨てて話を終わらせようとすると、男は何故か鼻で嗤った。 多分、大した興味もなく流れで聞いてきただけなのだ。 「『Key』は本名の鍵本から取った鍵――単純ね」 なんとか言い負かせてやりたくて彼のハンネを持ち出しそう言えば、「でも意味はある」とまた上からやり込められた。 そしてニヤリと目を細める。 「俺の本名覚えててくれたんだ、りんごちゃん」 それは、私の本名は記憶にないという意味か。 あくまでこちらの呼び方はハンネで通すつもりか。 どちらにしても、言い方が癪に障る。 「本名? なんでしたっけ? 『店長』さん」 わざと棘を無くした言い方でにこりと笑えば、どうやらこの攻め方の方が効くようで彼は顔をしかめた。 お酒が進んだ。 クリスマスだろうとシャンパンもワインもない、だけど日本酒や焼酎と、何故かカクテルの種類だけは豊富なこの店のメニューを、選ぶのも面倒で端から順に頼んでいった。 「えげつねえ酒豪だな」と若干引きながら、それでも彼も同じくらいの――むしろ私の倍くらいのピッチで、どんどんグラスを空けていった。
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