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カーテンの隙間から日の光が差し込み、寝ている顔を照らし朝だと告げて来る。
「……んっ……もう朝か……何時だよ……!?つうか全然寝てねぇし!」
目覚まし時計に目をやるとAM7時30分。決して早起きでもないのだが、かと言って沢山寝れた?と聞かれれば答えは『否』である。
と言うか。ここ一週間くらい前から俺こと天川 六(アマガワ リク)は全然寝てないのだ。
昨夜も寝たのはAM4時30分。その前の日はAM5時30分。そのまた前の日はAM5時ジャスト。
この調子で最近は平均、三時間の睡眠で身体の疲れはピークだった。
えっ?決して受験生でもない俺が何故に毎日、朝方に寝るのかって?それは間違いなくこいつの所為だろう。
俺はベッドから身体半分起こしたまま、直ぐ横にある押し入れの扉を睨んだ。
『ピシャ!』
すると勢い良く横にスライドした押し入れの扉。
そして、その中から眠そうに目を擦りながら現れた女。
『ふぁ~。……はっ!寝過ごしたか!しまったぁ!朝ご飯は既に終わったのか六!?』
そう言って慌てる女を睨んだまま一応質問には答えて置く。
「いや。まだだ」
「そうか。一安心じゃな」
このドラ◯もんの様に押し入れから現れ朝ご飯を気にする女は決して、我が家『天川家』のドラ◯もんって言う訳ではない。
いやドラ◯もんに近い登場の仕方なのだが。
しかし、こいつは残念な事に猫型ロボットでもなければ、どら焼が好物って訳でもない。勿論の事だが四次元ポケットもなければ、何一つ子供に夢を与える様な道具を出せる訳でもない。
じゃあ普通の人間だろう?と思うだろうが……残念だが、それにも当てはまらない。何故ならば、こいつには猫耳ならぬ狐耳が生えているからだ。
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