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「ガァァァァァ!!!」
目を閉じた俺の耳に異常者達が食べたいのか引き裂きたいのか解らないが、取り敢えず耐えられなくなった様子で一斉に襲いかかる雄叫びが聞こえた。
と、その時だった。
「ははははっ!案ずるな人間!」
何やら、そんな声も同時に聞こえて来たので思わず目を開けてしまった!
すると俺の真上から白い何かが舞い降りて来て、そして俺を庇う様に目の前に立ち顔だけを、こちらに向け微笑んでいた。
「……女?」
思わず呟いていたが、性別は紛れもなく女で間違いは無い。
透き通る様な長い銀髪。格好はミニスカートな豪華とも言える巫女衣装に、けしからんオッパイ。そして、そこから飛び出ている細くも太くも無い絶妙な感じの生足と尻尾が九本。
(んっ?……尻尾?)
思わず尻尾に目が止まり一瞬、固まったが。さらに良く見ると飛び出ているのは尻尾だけでは無く頭からも飛び出していた。
と言っても頭がデカイとか、ひょろ長いとかではなく。長く綺麗な髪の間から獣耳が二つ飛び出ているのだ。
(何かのコスプレかな……)
呑気に謎の女を観察していると真っ赤な瞳で俺を見つめながら「少し下がっておれ人間?」と手で下がれの合図をしていた。
俺が言われた通りに少し下がると。それを見て満足そうに頷いたコスプレ女は今度は異常者達に振り向き「さて始めるかの。ふふふ」と笑った。
コスプレ女が、そう言うと……何故か解らないが異常者達の足は止まり、そして何だか足が震えている様にも見えた。
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