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とにかく、このままにして逃げたとして。万が一にも生きて居たら助けなかった事を根に持たれ復讐されに来られても堪ったもんじゃない。なので仕方なしに恐る恐る俺は話し掛けてみる事にした。
「あ、あの……大丈夫ですか?」
「…………大丈夫な訳がなかろう。我とした事が調子に乗って力を使い過ぎてしまった様じゃ」
「うわっ!」
喋り掛けたら返って来たのたので思わず驚いて叫んでしまった。
「何を驚く人間?」
「いや驚きますよ普通……だって見た目がすでにあれだし……それに、人殺しだし」
「人など殺してはおらぬぞ?」
「じゃあさっきのは?」
「うむ。さっきのは鬼じゃな。だから人では無い」
「鬼!?確かに角は生えていたけど鬼!?」
鬼と解り驚き思わず二度叫んだ俺に彼女は聞いても居ないのに勝手に名乗り始めた。
「我が名は天狐じゃ」
「天狐!?」
「うむ。簡単に言えば妖狐じゃな」
さっきから気にはなっていたミニスカな巫女衣装も、獣耳も、九本の尻尾も、けしからんオッパイも。どうやらコスプレでは無く本物だったらしい。
「まぁ。妖狐と言っても我は人に害はなさんから安心せい。それより一つお主に頼みたい事があるのだが聞いては貰えぬかの?」
「頼みたい事……ですか?」
「うむ簡単な頼み事じゃから、そんな構えるな。して主は名を何と言うのだ?」
「えっ!名前は……天川 六だけど」
「六か。ならば六よ?すまぬが我の身体を上に向けてはくれないか?」
「身体を……こうですか?」
俺はうつ伏せになっている妖狐だと言う彼女を言われた通りに優しく上に向かせた。
その為、首の下に腕を入れ抱き上げる様は何だかちょっぴり良いムードになっていて……それは、まるでキスする前の恋人同士みたいにな感じになっていた。
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