第一章 月の少年

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 逆に両親のマイナス部分ばかりを受け継いだものはどんどん月へ送られている。  女性のプライバシーもあり、親の名は教えられなかった。  男に生まれた以上選択はできない。  女性とは遺伝子的に知性、財力、家柄共に高い階級の男しか結婚する事が認められなくなり、女性達は希少ゆえに崇められるような存在になっていた。  今、地球は女帝を中心とした宮殿を設け、各国に点在している。  男性は女性の補佐的存在になっていた。  女性の数が激減したというはっきりした原因は依然としてわからない。  女性の人口を増やすため、優秀なDNAを残すために男達の間には激しい差別階級ができていた。  なりをひそめ始めた月には、かつて建造された巨大なドームがそのまま残されており、それらは地球の制度と同様にドームごとに階級がある。  下のドームの者は上のドームの者に従う決まりになっていた。  ドームは1番目から6番目まで存在している。彼の住んでいるところは第6ドームというところだった。6つあるドームのうち一番階級も低く、環境も劣悪なところである。  全くあいつらは、1番だの2番だのをつけるのが好きだ。  どうせやつらは、俺たちに『お前らは最低な身分の人間だぞ』と言いたいのだろう。 みんな好きでここにいるわけじゃないのに。  『瑠璃』 と名前をつけてくれた俺の親、どんな人なのだろう。  両親の顔も俺はまったく知らされなかった。  地球。俺が行きたい場所。こんな最悪な状況にいつまでもいるのは嫌だ。  いつまでもこんなこともしていたくない。  いつか必ず帰ってやる。  俺はそのために、けんめいに金を自分のマネーカードにためこんできた。  それはもっとも俺が毛嫌いしている方法だ。  俺はこれでしかお金をためれる方法を知らない、くやしいけどこれしかできない。  族に言う男娼というやつだ。  子供の頃からこれしかやらされてこなかった、仕込まれてこなかった。  そうしなければ俺には飢え死にしかなかった。いくら他の方法を探そうともがき苦しんでも、俺に選べるのはこれしかなかった。
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