3人が本棚に入れています
本棚に追加
ドドドドッ ドンッ ドンッ
雷鳴なのか銃声なのか分からない音が上から降ってくる。
それは徐々に近づき、少しの静寂が流れた後で突然に大きな音が目の前でした。
ドゴォオオオオンッ!
その音と共に錠は破壊され、爆破の勢いで鉄のドアが吹き飛び、エストリオはそれに怯んだ。
次の瞬間、エストリオの身体は穴だらけになった。
ババババババッ!
ババババババッ!
ババババババッ!
一人の男が短機関銃をエストリオに向けてぶっ放し、血は部屋の隅の置物にまで飛び散り、ミシアはその音に驚いて両手で耳を塞いだ。
しばらくして銃声は止み、元の静寂が訪れた。
ミシアは恐る恐る顔を上げて置物の穴から部屋の様子を窺うと、そこには真っ赤な床が広がっている。
長い黒髪を一つに束ねた男の後ろ姿が見え、足で仰向けになったエストリオを揺すって動かないのを確認すると、彼は煙草に火をつけて一服した。
その煙草の匂いは置物の中のミシアにも届いた。
独特のスパイシーな香り。
その男の血に塗れた左腕、肩から手首にかけて刻まれた黒い蠍のタトゥー。
その毒針がこちらに向けられていたのをミシアは今でもはっきりと覚えている。
最初のコメントを投稿しよう!