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私は降参した。クレイは明らかに地球上の生物とは異なった性質を持ちすぎている。似ていると言えば、アメーバであろうか。しかしアメーバもエネルギーを必要としており、人為的な分裂には堪えられない。
だからだろうか、私は気まぐれに、クレイの1匹に悪戯をした。
なんていうこともない。いくつも分かれているうちの1匹に、透明の蓋をしたのだ。別のクレイへと融合しに向かっている個体だった。ガチャガチャのカプセルをかぶせると、閉じ込められたその個体は、見えない壁にぶつかり、もだえた。
彼らが空気を必要としないことを知っていた私は、ほんの少し、眉をひそめた。
彼のすぐ近くでは、凹字形で待ち構えているクレイがいる。しかしカプセルの中の個体はそこへはたどり着けないのだ。カプセルの中で右往左往し、また壁にぶつかって、もだえて。
そうしているうちに、その個体の動きが鈍くなるのが分かった。疲れたのか、どうなのか。
見てみると、先ほどまで凹字形だったクレイは、もとの丸に戻ると、カプセルに近づいてきた。カプセルの中の個体はもう動かなくなっていた。
私は何故か、とんでもなくひどい過ちを犯したような、胸の苦しさに襲われていた。
罪悪感に負け、私はカプセルを取った。
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