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「そっかあ!隼人くんか。あ、そういえばまだご飯のお礼言ってなかったね、ごめんね」
そう申し訳なさそうに言ったピュロスは隼人に賄いのお礼を一言言うと、すっと手を隼人に向けて差し出した。
「改めてよろしく、隼人くん!!」
「ん、よろしくな。」
いつの間にか敬語もなくなった。どうやらこの人純粋な人らしい。にっこりと笑ってるピュロスに隼人も雰囲気で気がついたのか少しだけ口角をあげピュロスから差し出された右手をぎゅっと自分の右手で握ったのであった。
*
「お兄ちゃん、起きて。ねぇ、お兄ちゃん。」
ミーン、ミーンと暑い時期なら任せろとばかりに叫ぶ虫の声を背に自分をお兄ちゃん、と呼ぶ声に少しずつ自分の意識が浮上していく。
「ん...はや、せ?」
「やっと起きた。そろそろ朝ごはん出来るよ、早く着替えて。」
そう言い終えた早瀬はガチャリと何か音をさせ最後にはパタン、と何か閉じる音をさせながら出て行った。
「...わざわざ起こしに来てくれたのか」
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