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「じゃあお兄ちゃん、また後でね。」
「おう、帰り遅くなるようだったら連絡する。」
「わかった」
多分コクリと頷いたであろう目の前の相手に「寄り道せず帰れよ」と告げれば了承の返事を貰った。
それからして規則的な足音の音がしたからきっと早瀬は帰路に向かったんだろう。
「んじゃ。俺らも行こうぜ、隼人。」
「ああ、そうだな」
早瀬とは逆方向の道に行くため進行方向を変え歩行する。
何故か胸の奥がざわつくのは気のせいだろうかーー。
*
「...遅かったじゃないですか、早瀬ちゃん」
「...!」
「ふふっ、そんな目をめいいっぱい開いて驚くなんて。早瀬ちゃんにしては」
【珍しいですね?】
深緑色の髪を姫カット状態にし髪を少し揺らし、黒色の目をスッと細めるという一連の動作をしては途端に笑顔になる彼女は早瀬の反応からしてきっと知り合いなんだろう。
良い知り合いなのか悪い知り合いなのか、それは本人達にしかわからない。
しかし早瀬の目の前にいる彼女は絵に描いたような清楚系の美少女という言葉がとてつもなく似合う程とてもお淑やかで漂う空気さえのほほんとしている
...さっきの早瀬に対する言葉に小さな棘があろうとも彼女は清楚、その言葉が似合っていた。
「早瀬ちゃん、一緒に帰りましょ」
スッ、と寄りかかってた壁を離れた彼女は手を後ろにやり笑顔で相手に一緒に帰ろうと述べた。
「....」
そんな誘いを早瀬はスルーをし真っ直ぐと自分の家へと向かう。
先程までの驚愕の表情は、消えていた。
「あらあら、連れないですねえ。」
さも気にしていない、と言った様子な彼女は口元に手をやりクスクスと笑いながら表情を緩めた。
「危害を、加えたら承知しないから。
...翠(アキラ)」
「わかってますよ、早瀬ちゃん」
彼女...翠の笑顔は何処までも綺麗であった。
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