第1話 赤の少年と出会う

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隼人は帰りの支度をさっさとし、学校から出た。 ザア、ザアと音がする コツ、コツと音がする タッ、タッと音がする 規則的なリズム音がする中、隼人は目を閉じながら歩いていた。 否、眼が視えないのであるから当たり前か。 隼人は五感の一つが使えないが為に他の四感、嗅覚、味覚、聴覚が優れていた。 特に聴覚や嗅覚は他の人よりも優れており人よりも音や臭いに敏感であった。 隼人は至極憂鬱そうに足を動かし家までの帰路を歩いていた。 コツ、コツと眼が視えないが為に......いや、視えないという表現は勘違いをさせてしまうかもしれない。視えないというよりも『使えない』の方が分かりやすいだろう。そう、隼人はその瞳を開くことができないのだ。そして、何時も歩く時に使っていた白杖を今は生憎持っていないのか両手には傘を持ち一つは雨を凌ぐために、もう一つは白杖代わりに傘を使っている。 では何故、隼人は傘を2本持っているのだろうか。 きっとそれは本人しかわからない事なのだが...そうだ。もしかしたら親族は知っているのかもしれない。 事実、先程妹である早瀬が心配していた事の枠にこの事が含まれていたのだし。 幸か不幸か隼人は助かっていた。今日、傘が2本あったことに。 そして自分のこの眼が『視えない』という体質に最早もう慣れていることを しかし同時に雨というものにそこはかとなく隼人は嫌悪感を抱いていた。
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