第1章

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クスリと笑って長谷川さんが頷くと、俺の鼻先をサラリとした髪が掠めた。 「ゴメンね長谷川さん。起きたらシーツ洗っとくから」 「シーツだけじゃ無くて俺のことも洗って。こんな体ベタベタのまんま土曜の朝からベッドに入ってるなんて、初めてだよ俺」 (………ん?) 「…ぁ…何? 貴弘おっきくなって……あ」 「やっぱりも一回しよう! 長谷川さん!」 休日の朝。気怠げに横たわる恋人。 (これはもう最初で最後のチャンスかも!) 「なっ…あぁ……何急に…ちょ…んっ…ふぅ…ん」 横になっている彼のおとがいを取ってもどかしいキスをした。舌を絡ませ吸い上げると下から何か溢れ出す。 「んっ…んっ……あぁっ……やだっ」 「何が嫌?」 「あっ…ダメっ……て…あ…そんなしたら…もうっ」 「ホント…良い声…」 「貴弘っ…タカッ…ひっ……おねがっ…お願いっ」 彼が俺の腕に手を掛けて戒めを解くように懇願する。必死に首を振って限界を告げる彼を振り向かせ、深いキスを味わいながら自分の果てるタイミングで戒めを解いてやった。 「あぁっ…んんっ…っ…ぁ…」 彼はぐったりと弛緩した。荒い吐息だけが部屋に響く。 「も…何…急に……がっついて」 「えっと…ゴメン。いつも朝は長谷川さんの居ないベットで起きてるから、なんか今日は居るんだって気付いたら嬉しくて…」 「な……」 そんな理由なのかとなかばあきれ顔の長谷川さんだったが、バカだなと優しく微笑みながらキスしてくれた。 「もう俺ちょっと寝るから…起きたらシーツの洗濯と」 「長谷川さんのお風呂でしょ? わかってるよ。ゆっくりお休み」 つむじにキスをして睡魔にさらわれる恋人を見送る。流石に自分も体が重く何もする気になれない。 (俺も少し眠ろう) 目を閉じれば案の定。あっという間に眠りの底へと落ちて行った。 それは、休日の朝から恋人と甘い行為を繰り返し、疲れ果てて眠りに落ちる。ささやかな俺の夢が叶えられた記念すべき日だった。    おわり
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