第4章

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少しでも主任が優しいとか思った私が馬鹿だった。 総務に行き、封筒を貰って主任の元へ急ぐ。 遅いとか言われたら癪だ! 「お待たせして申し訳ありませんでした」 封筒を差し出すと『ありがとう』と受け取る。 本当に使うのか見てやろうとその場に立ったまんまで居ると『何?お駄賃が必要?』と言われ『要りません!』と言って自分の席に戻る。 何さ。なんなのさ! その日一日、プンスカしながら仕事をした。 「春花、来週の日曜日空けといて」 夕飯を食べる準備をしていると母親にそう言われる。 「日曜日?」 「そう。 詩音ちゃんのご両親と顔合わせを兼ねてお食事することになったから」 「顔合わせ? それって私も行くべき?」 「当たり前でしょ。 日曜日のお昼にホテルを予約してるから」 「わざわざホテルでするの」 「つべこべ言わない。分かった?」 「はーーい」 顔合わせとか、本当に結婚するみたいだ。 いいのか?あんなゴリラ馬鹿改めエロがっぱと。 一度、その辺をしっかり聞いておかないといけないかも。 結婚か・・・ 羨ましいような、羨ましくないような。 そもそも良く考えたら私って結婚願望あんまりないんじゃないの? ウエディングドレスだってそんな興味ないし。 「春花、汚い」 「うお!」 口にご飯を入れていたつもりがポロポロとテーブルに食事をさせてた私は怒られてしまった。 「人が作ったものをは感謝して食べなさいよね」 「申し訳ありませんです。はい」 怒ると怖い母には素直に謝るべし。 実際私が悪いんだし。 怒られる前にサクサク食べて片づけてしまおう。 からあげをほうばりながら落としたご飯粒を拾う。 私が食べ終わる頃にぃが帰ってきた。 「お帰り」 「おう。 春花、立ったついでに俺の飯よろしく」 私まだ立ってませんけど。 まぁもう終わるし、ついでだし。 やってやらない事はないけど。 「今度なんか奢ってよね」 「じゃあいいよ。俺がやる」 「ケチ。いいよ。準備ぐらいしてやるよ」 「エラそうだな」 「偉いもん」 着替えに部屋に戻ったにぃのご飯の準備をする。 昔話に出てくるように、茶碗に山盛りご飯を盛りつける。 お味噌汁も温め直してにぃの場所に置くと丁度ジャージに着替えて降りてきた。 やっぱりジャージじゃん。 「お前何の嫌がらせだよ」
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