第4章

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「人聞きの悪い。 頭が育ちざかりのにぃのためにしてあげたのに」 「余計なお世話だよ。 あ、茶碗そのままでいいぞ。俺やるから」 「ホント?サンキュー」 洗い物をそのまま流しに置いてリビングでいつもの韓流を見ている母親の隣に座る。 「日曜日聞いたか?」 「うん。聞いた。 わざわざホテルで食事とか緊張するんですけど」 「何でお前が緊張すんだよ。するなら俺だろ」 「にぃでも緊張するんだ」 「俺でもってどういう意味だよ」 「まんまぁ」 「お前な」 「ちょっと五月蠅い!テレビの音聞こえないでしょ!」 お母様。そんなに韓流いいですか? 見ても分からないテレビを見ても仕方がない。 にぃの横に座る。 「ねぇ」 「あん?」 「結婚ってどんなもん?」 「どんなもんって、まだしてねぇよ」 「だよね。ねぇ」 「だからなんだよ」 「流れで結婚決めたって言ってたけど・・・どんな感じ?」 「どんな感じって言われてもな・・・ 何?お前も結婚すんの?」 「相手がいませーーーん」 「そん時が来たらなんとなく思うんじゃないのか? 結婚するって」 「結婚しよう!って思ってするんじゃないの?」 「知らねーよ。 でもしようって思わないとしないだろ。 俺らは勢いもあったけど、やっぱどっかで思ってたんじゃねーの。 コイツと結婚する。したいって」 「馬鹿ゴリラでも?」 「お前茶碗洗えよ」 「あ、お風呂入んなきゃ」 「焦ってるのか?」 「---違う。焦ってないし結婚がしたいなんて思ってないから。 ただ、結婚ってなんだろうなって思っただけ」 チャポン 湯船に体を沈める。 お湯の暖かさが体に染みわたる。 世間の女性のどれくらいが結婚に憧れをもってるんだろうか。 恋愛をしたくない訳じゃない。 彼氏欲しい。彼氏とデートとかしたい。イチャイチャしたい。 それは普通に思うのに。その先をどうしても思い描くことが出来ない。 そんな相手に出会えるんだろうか。 そう思うと結婚してる人たちって実は凄いんじゃないんだろうか。 一生この人と。そう思って結婚するんだよね。 この人じゃないと。そう思ったって事だよね。 どこかに居るんだろうか。 こんな私でも出会えるんだろうか。 小指を眺める。 赤い糸はあるんだろうか・・・
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