第4章

11/21
2136人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
ゲホゲホと咳は出るものの、熱もあれ以上上がることもなく一晩寝た私は通常通り仕事に出た。 自分の健康体が恨めしい・・・ 昨日の衝撃的事実を受け入れきれない私は、主任の顔をまともに見る事が出来なかった。 まぁ直接かかわってる訳じゃないから大丈夫なんだけど。 でも気が付くと目が主任を追っていた。 既婚者なんて絶対対象外。 既婚者のくせに私と付き合おうなんてふざけてる。 そうだよ。 最初から私の事からかってた感じだったじゃない。 声が枯れているせいで電話番をしなくても良いとお達しを貰ったから通常業務がはかどる。 時間が出来る。 主任を見る。 いかんいかん。 の繰り返し。 馬鹿じゃなかろうか。 「ねぇ、今日、何?アンタ」 お昼ご飯を食べながら新子が呆れた顔で聞いてくる。 「何って何が?」 「仕事中に何回も頭ブンブン振って」 「そんな事してないし」 「いや、おもっくそ振ってたし」 「あ・・頭が痛かったんじゃない?」 「振ったら余計に痛いでしょうが」 新子の追撃をかわすべく、白ご飯を口に放り込む。 物が中に入っているので喋れませんアピール。 「主任の事、鬼の形相で睨んでるし」 「睨んでないし」 「主任の事見てた事を否定しないんだ」 「---見てないし」 「何?もう言っちゃいなよ」 「別に何もない。見てないし、睨んでないし、興味もない」 「一緒にご飯行ったのに?」 「あれはただのお礼のご飯だし」 「奢られたのに?」 「とにかく。なんでもないから」 おかずを口に放り込む。 何でもないから!あんな女の敵のような男! 「ねぇ・・・」 「ん?」 「男の人が結婚を隠すのってどういう時?」 「どういうって・・・浮気したいときじゃないの?」 「だよね」 「何?そんな男と知り合ったの?」 「いや、別に。知り合ってない。・・・そうだよね。浮気したいときだよね」 「気になる言い方するなぁ」 第三者が言うんだもん。 主任は私と浮気したかったのかな・・・ あんな綺麗な奥さん居るのに・・・男ってホント馬鹿なの? しかも職場とか身近で調達しようとかあり得ないよ。 「何?また具合悪くなった?」 黙った私を心配する新子。 「ううん。 でも、食欲はないかも」 「病み上がりはしっかり食っとけよ」
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!