第4章

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今一番関わりあいたくない人の声。 何故か私の隣に座る。 「うつるかもしれないですから他に行った方がいいですよ」 「大丈夫。風邪引かない体質だから」 意味不明。 ま、別に主任が風邪引こうと私は一向に構わないしどうせすぐに席立つし。 「新子、先行っとくね」 まだご飯途中の新子を残して立ち上がる。 「ちょっと」 「お先に失礼します」 一応上司だから主任に挨拶する。 ズルズルと鼻を啜りながらパソコンとにらめっこ。 昨日の遅れを取り戻すために。 午前中は主任の事を考えていたせいであまり捗らなかったけれど、午後はなんとかいけそうだ。 私生活の悩みを仕事に反映させるとか本当、あり得ない事なんだけど。 今までこんな事になったことがないだけに、若干のとまどい。 恋愛ってこんな思いするんだ。 ―じゃあ今までの恋愛はなんだったんだ? と、自問自答。 いやいや、仕事しろよ。 数字と格闘しつつ、今私の脳内は一体何パーセントの割合で主任が占めてるんだろう・・・ いや、だから仕事。 ダメだ。 仕事になんないや。 昇華じゃないけれど、気持ちをさっさと伝えて次に行かないといつまでたっても先に進めない。 善は急げ。 どうせこんなんじゃ今日もまともに仕事なんて出来ないからさっさと切り上げて主任と話そう。 からかったのならそれでもいい。 いや、ダメなんだけど。 こんなモヤモヤ抱えたままずっと居るなんて不健康だ。 パンパン と自分の頬を二回叩いて気合いを入れる。 まともに出来なくても、出来る範囲でしっかりやろう。 二日連続で定時で上がって申し訳ないと思いつつ会社を後にする。 主任には話があるから早めに上がれませんか?とまた内線を利用した。 待ち合わせなんて考えていなかった私はこの前同様会社前で主任を待つことに。 前回と違って主任はすぐに出て来てくれた。 まだ少し肌寒いこの季節。主任の手にはあの手袋がしてあった。 「飯でも食べるか?」 「いえ。今日は・・・ ゆっくり話がしたいんですけど」 馬鹿な私は場所の事はちっとも考えてなかった。 「ゆっくり・・・うち来る?」 「え?」 主任の提案にビックリする。 あ、でも丁度いいかも。 家って事は奥さんが居ることを言い訳できないだろうし。
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