第4章

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「ちょっと面白いんだけど邦隆君」 奥さんがお腹を抱えて笑う。 いや、それはもう大爆笑? あまりにも大笑いするため、子供が若干引き気味に見ている。もちろん主任も。 ヒーヒー言いながら笑う人初めて見た。 「綾瀬・・・あそこで大笑いしてる人俺の兄貴の嫁さん」 「え?」 主任の言葉に反応するかのように『苦しい』と体をくねらせて笑う兄嫁。 そして私は顔から火が出るんじゃなかろうかと言うくらい一瞬で熱くなる。 そんな私を見て更に笑われる。 「どうしたの?騒々しい」 髪を一つにキュっとまとめて目元がキリっとした女性が入ってくる。 年齢から行くと主任のお母さんっぽいんだけど。 「おかーさん、聞いてくださいよぉ。 私、不倫しちゃいましたぁ」 はぁ?って顔をする主任母。 呆れたような顔をする主任。 顔が真っ赤な私。 爆笑する美人。 この図、何? 「私、邦隆君のお嫁さんになってたみたいです」 ソファーをバンバン叩くお嫁さん。 もう穴があったら入りたい。 いや、いますぐ穴をここに掘りたい。 そして埋まってしまいたい。 「どうした?」 ああ、今度はお父さんらしき人登場。 篠田家勢ぞろいですか? そんな中でも笑い続けられるこの人凄い。 「優真、五月蠅い」 主任の数年後のような人が現れてこの人が邦弘さんだとすぐに分かった。 ぞくぞくやってくる篠田家。 次は誰ですか。 そしてここなら落ち着いて話が出来るなんて言ったの誰ですか。 「そろそろ許してやってくれない?綾瀬泣きそうなんだけど」 私の隣に立った主任が頭にポンと手を乗せる。 「あらお客さん。いらっしゃい」 今頃私の存在に気付いたのか父・母・兄が挨拶をする。 「お邪魔してます」 なんて微妙な挨拶しか出来ない私。 まだ、ヒーヒー言ってるんだけど・・・笑い上戸なの?この人。 「綾瀬、これが父でこっちが母。でこれが兄とあの人が嫁さんの優真さん。それと二人の子供の邦人」 「し・・篠田家は全員集合でしょうか?」 「あとはこの前のあの横暴姉だけ」 「畏まりました」 優しそうなお父さんと怖そうなお母さんにこんな形で初対面ってどうなんでしょうか? 告白しに来たんだけど、こんな状況に追いやられるなんてこれっぽっちも思ってなかっただけに精神的ダメージが半端ない。
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