第4章

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優真さんは邦子さんにそれはそれは事細かに説明した。 多分。 途中で耐えきれなくなった私は主任の手を引っ張って食卓を離れると言う行儀が悪い行動を起こしたのだった。 「地獄です」 「あ~~・・・なんか悪い」 ポリポリと頭をかく主任。 主任が悪いわけじゃないけれど・・・いや、そもそもここで話をしようと言った主任が悪いのでは・・・ 笑い声が響いてるんですけど。 もう、ここから消え去りたい。 「部屋・・・行く?」 「この笑い声から逃れられるのであれば」 そう答えるとクスっと笑って私の手を引く主任。 廊下を真っ直ぐ歩いて突き当りを左に曲がってすぐの扉を開ける。 主任の香りがする。 テレビとベッドと本棚だけというとてもシンプルな部屋。 主任らしいと言えば主任らしい。 てかよくよく考えたら、私たちって付き合うんだろうか? 晴れてカレカノになったの?あの変なやりとりで? なんだか納得いかないけれど、今更『付き合うんですか?』なんて聞けない。 告白は出来たくせに・・・ 「座ったら?ってまぁ座布団なんてないからそのまま座ってもらうしかないけど」 「大丈夫です」 カーペットだし。 と、そのまま座る。 「まさか告白が聞けるとは思わなかった。だって昼間俺に怒ってただろ」 「あれは・・・主任が結婚してると思ったから・・・」 「だいたい何で俺が結婚してるなんて思ったわけ?」 主任が隣に座る。 「だって休日に2回も一緒に居るところみたし・・・それに昨日病院で見かけて」 「ああ、邦人が風邪引いたみたいだから病院行くって言ってたっけ」 「だから・・・主任は結婚してて子供もいると思って・・・なのに私と『付き合わない?』とか言ってくるとか人として最低だと思ったし・・・そんな主任の事を好きなんだと分かった自分もなんか嫌で」 「それが何で告白?」 「昇華・・・させなきゃって思ったんです。 篤志・・・にしても、修二にしても、なんだか中途半端で全然自分の中で昇華出来てなかったって思ってたのに、それにさらに主任への思いまで乗っかってきちゃったら私先に進めないんじゃないかって・・・だから、告白して綺麗さっぱりフラれて次に行かないと、ダメなんじゃないかって」 「最低男の事好きだって告白してくれたんだ」 「だから、勘違いで」 意地悪な顔をしてる主任。
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