第4章

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ここに来てからずっと体温が上がりっぱなしだ。 体に良くない。 病み上がりの私の体力をどんどん奪っていく。 さっき離れた体が、再び近づく。 耳元でそっと囁く。『好き』と。 恥ずかしさと嬉しさで顔がにやける。 ちゃんと届いた『好き』の二文字。 たったそれだけでこんなにも幸せな気分になれるなんて単純な生き物だ。 「ほら、早く」 主任が部屋を出る。 その後をついて行く。 「あの・・お付き合いすることになるんですか?」 『好き』の言葉に後押しされてつい聞いてしまう。 「お付き合いしない人と綾瀬はキスするの?」 「しません」 「そ」 そ・・・って・・・それだけ。 これからお付き合いするって事でいいんだよね? 「あ、な~~んだ戻ってきちゃった」 優真さんが残念な顔をして廊下の向こうに立っている。 怖い。この人本当に部屋に来ようとしてた? 「覗きとか止めた方がいいよ」 「春花ちゃんが悪い男の毒牙にかかってないか心配してただけよ」 「誰が悪い男だと?」 「なんだ、もう帰ってきちゃった」 同じセリフを邦子さんまで呟く。 この二人が実は姉妹なんじゃない?思考回路全く一緒? 「やってたらどうするつもりだったと?」 「別に。ただ写真でも撮って脅しの道具に」 脅すって誰をでしょうか。ってか人がやってる最中を面白がるその性格が理解できないんですけど。 「やってないし脅される理由も分からないから。 綾瀬が引いてるし。ほら帰るよ」 スイっと伸ばされた手を自然と取る。 「おお!」 何が『おお!』なんだか。 と、思いつつも恥ずかしくて下を向いたまま『お邪魔しました』と挨拶をする。 「いつでも遊びに来てね」 と二人に見送られた。 色々と衝撃的な数時間を過ごしてしまった。 その後、他の皆さんにも挨拶をして篠田家を後にした。 ずっと繋がれた手。 主任の手はとても暖かくて心地がいい。全然冷え症じゃないじゃない。 「悪かったな。まさかあんなことになるとは思うとは。家ならゆっくり話せると思ったのが大間違いだった」 「あ、いえ。もとはと言えば私が変な勘違いをしたのが始まりですし・・・ 主任が独身で良かったです」 フフっと笑う主任。 「でも、勘違いのお蔭で告白できました」 「俺から言いたかったけど正直どうしていいか分からなかった」
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