第5章

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それが不満とかじゃないんだけど・・・ でも、それなりに大人な二人なんだしそろそろそういう関係になっても良いんだろうけど。 主任って今はやりの草食系とかって奴? でも、キスはするし・・・ 自分から行くほどしたい訳じゃないけれど、なんだか少し寂しい気もしないでもないような。 「食ってっか?」 焼き係りの同期の志田君がさらにてんこ盛り肉を入れてくれた。 「準備大変だったんじゃない?」 「もう二度とやんねー」 「そんなに?」 「買い出しの量半端ねぇの。 俺らは力仕事で運搬だけだったけど、女子の係りは野菜切ったりとかめちゃくちゃ大変そうだったぜ」 「うわぁ。絶対したくない」 「そのうち回って来るから覚悟しとけよ」 「遠慮したいな・・・でも、アンタ的には丸尾さんとお近づきになれたから」 「うわ!馬鹿!シー!」 志田君が慌てて私の口を塞ぐ。 「ちょ、何すんのよ」 「お前こそ何言ってんだよ」 「何ってあなたが丸尾さん『お前!』」 慌てふためく志田君をからかって遊ぶ。 「ちょっと黙ってろよ」 「いいじゃん。丸尾さん」 「だからもう黙れ」 ビールを私のカップに注いで『それでも飲みやがれ』と言ってきた。 「あざーす」 なみなみと注がれたものを胃袋へと流し込む。 「なんかすっごい楽しそうだね」 ニコニコしながら丸尾さんがやって来た。 カチンと音がしたんじゃないかってくらい目の前の志田君が固まる。 「準備係りお疲れ様。大変だったみたいだね」 「初めて経験したけど、もう二度とやりたくない。ね、志田君」 「あ、うん。うん」 THE・挙動不審! 「綾瀬さんはやったことないの?」 「まだなんだよね。来年あたり来そうで怖い」 「その前に寿退社とかしちゃうとか」 「アハハ。相手が居ないよ」 「え?そうなの?綾瀬さんフリー?」 「あ、いや、そうじゃなくて。相手は居るって言えば居るんだけど結婚とかそんな感じじゃないって話」 「そうなんだ。でも恋愛はどうなるか分からないからね。ね、志田君」 「お、おう。 それよかお前彼氏居たんだ」 「居ちゃ悪い?」 「誰も悪いなんて言ってないだろ」 「じゃあ何よ」 「何でもねーよ」 「二人とも仲良いね」 「そんな事ないよ!」 慌てて否定する志田君。ちょっと傷つくよ。全否定されると。
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