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「主任!」
私たちの前に、数人の女の人が立ちはだかる。
明らかに怒ってるようなそんな口調で仁王立ち。これって怖い系?
「さっき・・その子にき・キスしましたか!?」
ド・ストレート!ド・直球来たーーーーーー!
ど、どうするんですか!主任!
主任があんな事するから!
「キス?ああ、したよ」
サラっと認めた主任の言葉に悲鳴が上がる。
「彼女なんですか!」
「彼女以外にキスするのって問題ありだと思うけど」
サラっと流す主任の言葉にさらに悲鳴。
主任・・・実は黙ってた事怒ってたんじゃないんですか?
公表したかったとか?
まさかね・・・
中央に立っていた女の人がキっと私を睨む。
主任が私の横に立って『何?』とその人に問いかけると『お幸せに――――』と走り去った。
他の女の人もその人を追いかけるようにして走り去っていくのをただボーと見てる私。
「あの・・・」
「酒持っていくよ」
何事もなかったかのように歩き出す主任。
「言ってよかったんですか?」
今思い出したけど、さっきの人主任にボディタッチしてた人たちだよね?
「何を?彼女って事?本当の事隠す必要ないと思うけど?
それとも嘘付けばよかった?赤の他人ですって」
『赤の他人』の部分で胸が痛む。
そんな事言ってほしくない。
「ごめんなさい」
「別に怒ってないけど」
「怒ってますよね?実は公表したかったんですよね?」
「怒ってないし、公表してもしなくても別にどっちでもいい」
「嘘ですよね。なんかすっごい怒ってますもん」
「何気にしつこいね」
「しつこいって何ですか!主任の方がしつこいじゃないですか」
「そうだね。しつこいかもね。
綾瀬会社で俺の事必要以上に無視するから」
「会社ですもん。接点ないのに一緒に居たら変じゃないですか」
「別に話すくらいなんともないと思うけど。自意識過剰?」
「自意識過剰って!
こっちだって気ぃ使って喋らないようにしてるのにそんな言い方しなくてもいいんじゃないですか?」
「誰に対して気使う訳?」
「それは!」
「それは?」
「---誰に対してですかね?」
「綾瀬が知らないのに俺が知るわけないだろ。
別に怒ってないし。それに綾瀬が彼女だってひけらかしたい訳でもない。
ただ必要以上に警戒しないで欲しいってだけ」
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