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 後藤も必死だった。腕と首の隙間に手を入れようとしてくる。タツオも必死だった。額に力をこめて後藤の後頭部に押し付けながら、丸太のように太い首を必死に締め上げる。試合時間はまだ一分近く残っている。ここで腕をはがされれば、もう自分に後藤の攻撃を回避する足は残っていなかった。  後藤が左右に腕を振りまわしていた。足元はよたよたとして、意識が朦朧(もうろう)としているようだ。タツオのスリーパーホールドがようやく効果を示してきたようだ。相撲部の先輩が叫んだ。 「諦(あきら)めるな、まだいけるぞ、後藤」  部長の声がひときわ高かった。 「そのまま後ろに思い切り倒れろ。チビを潰してやれ」
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