家出日和

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家出をした。 思春期にもそんな青臭いことしたことなかったのに、二十代もいよいよ終わりかけているという時に初めて、家出をした。 あれほど悩んだのに、一度決めてしまえば簡単なものだった。なんでもっと早くこうしなかったのだろうと思うくらい。 あの男が私が家出をしたことに気づくのは、きっと日付が変わってからだろう。 あーくだらない。あんなくだらない男に養われるくらいなら、どんな苦労も耐えてやる。 もうすぐあの男がくる頃だ。 慣れないバーカウンターに腰掛けて、かれこれ一時間も、飲めない酒をちびちびと飲んでいる。 カルーアミルクの甘ったるい香りが、この状況の滑稽さを強調している。
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