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中庭に着くと、目の前には大きな枝垂れ桜。 だけど…弱々しい。 「織部先生、どないした?」 キョトンとした顔で達也は僕を見た。 周りには寮生と学園の生徒…。それから、数名の大人? 「失礼ですけど、あなた達は?」 僕は数名の大人に向って声をかけた。 すると、 小柄な男子生徒がほくの前に立ち、たどたどしく説明を始めた。 いわく、この大人たちは、生徒…華宮君の家の弟子たちらしい。 運ぶ桜がデカすぎて、大人の力を数名の必要としたということらしい。 それは、解った。 と言うか… どうでもいい。 肝心なことが、何一つ解っていない。 佐野さんは何処にいる? 「それで…さっきから知りたいことは何一つ聞いてないんだけどさ…佐野さんは何処にいるんだよ!」 僕の剣幕に、少し怯えた様子を見せるが、黒岩くんがゆっくりと口を開いた。 「意識が戻らず、高熱が出ていたので…救急車を呼びました。」 「どこの病院に連れて行かれたの?誰が同行したの?」 あぁ、胸ぐらを掴んで聞き出してわかるものならば、そうしてる! 嫌な予感は止まらない。 聞きたくないが…聞かなくてはいけない。
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