序章

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「くそったれが!」 ガッ 思いっきり地面を殴りつけた。 何度も、何度も…。 「いてーよ…よーさん。」 ドサリと音を立てて座り込む。 痛む拳をそのままに、空を見上げた。 そして、俺は…思う…。 サンタクロースは、無慈悲だと。 5年刻みで、俺に幸運と不幸を届けてくる。 頼みもしないのに…。 二十歳の時に俺に進むべき道を与えてくれた。 二十五歳の時には酒に飲まれて一夜の過ちに、申し訳なさで絶望し…。 でも、その後に家族という最高の贈り物をくれた。 三十歳には… その全てが…偽りだったと知らされた。 俺には…よーさんしか残らなかった。 そして…今…。 三十五歳になって全部なくなった。
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