573人が本棚に入れています
本棚に追加
side S
抱きしめられているのに、不思議と嫌悪感も恐怖感もない。
むしろ、その温もりが心地いい。
何でだろう…初めからハイテンションで、キスとか色々してくるし…。
嵐に怒られてばかりでダメダメな感じなのに…。
俺に届く全ての感情は、優しく温かい。
「ね、頑張って病院に行ったから…ご褒美ちょいだい。」
「ご褒美…?」
「うん、いつもなんて言わないからさ…二人の時は名前を呼んで。」
冬也って呼んでと、更に深く抱きしめられる。
その瞳は熱を帯びたように潤み俺を見る。
ドキドキするのは気のせいだろうか…。
うん、きっとまだしらなくていい感情だ。そう…きっとまだ…。
とりあえず、
「考えておく。さ、蕎麦とかき揚げしかないけど夕飯にしよう。」
俺は、トンと織部の胸を押した。
「ちぇ~。あっそうだ、武司さん…あなたは僕が守るからね。絶対な約束。」
小指を立てて彼は微笑む。その指に自分の小指を絡めたら
「指切りげんまん~。嘘つかないから、キスさせて…。」
ゆっくりと深く口付けが降りてきた。
俺は、目を閉じて動けずにいた。
Happy new year.
どこかでそんな声が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!