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よーさんの翼の先には、薄汚れた白衣があった。
「…っかやろ…。」
俺は、ゆっくりとよーさんを抱きしめた。
これ以上傷つけないように。
よーさんからは焦げた匂いがした…。
「武チャン、よーさん大好キ~。」
あぁ…そーだよ。大好きだよ。
命懸けで白衣を守ったよーさんが大好きだ。
パチパチパチ…
手を叩く音が聞こえてきた。
音の方を向くと…
闇夜から抜け出たような、異相の男が拍手をしていた。
月に輝く白い肌には恐ろしく整った顔と青と黒の瞳。
ニコリと形を変えた、赤い唇から甘いテノールが響いた。
「申し訳ございません。あまりに感動的な光景に、月夜野は拍手をしてしまいました。」
優雅な姿勢で腰を折る。
「さて、きちんとご挨拶をと思いますが…。先ずはお二人を相応の場所にご案内致します。」
役者染みた物言いに、呆然としたが、俺たちを何処に連れて行こうってんだ?
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