序章

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訳が解らない事が多いが、よーさんを早く獣医に診てもらいたかった俺は、闇夜の様な男に先に動物病院に向かってもらう事にした。 「佐野様は後回しになりますが…。」 いいのか?と青と黒の瞳は俺に聞いていた。 「大丈夫だ。俺のは軽い打撲傷と擦過傷だけだ。骨には以上ない。」 そう言って笑うと、男は顔を赤らめて横をむいてから、 「畏まりました。」 と、呟いた。 どうやら、俺の笑顔で気分を害したらしい。 俺は、よーさんの健康診断をしている病院に向かってもらった。 よーさんの担当の先生は、突然の来訪に驚いてはいたが、よーさんの姿を見ると、表情を変えて診察してくれた。 よーさんは、全治一ヶ月の大ケガだった。 羽の骨を折り、飛行羽を燃やしてしまったよーさんは… これからは、大空を自由に飛び回れる権利を永遠に失なった。
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