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深夜。大日本皇国、帝都の入り組んだ路地のひとつ。
「っあ……はぁ、はぁ」
全身が真っ白――白髪銀瞳、身に纏うのは純白のドレス――と言う出で立ちの少女が駆けていく。
「なんで……なんでッ!?」
かお
その幼さの残る貌に困惑と嘆きを張り付けた少女は譫言の様に「何故?」と呟きながら走る。
しかし、入り組んだ路地、それも辺りは薄暗い深夜帯。
ただ一心不乱に駆けていた彼女は
「しまった……行き止まり!」
地区分けに使われている石板にぶつかりかけ、慌ててスピードを落とす。
一瞬、驚愕の表情を浮かべながら足を止めようとしたが。
「止まっちゃ駄目っ……急がなきゃっ!」
自分に言い聞かせる様に鋭く言い放ち、走る勢いを利用し壁を蹴り体勢を反転。
踵を返す。
――そして、先の「壁にぶつかりかけた驚き」とは違うモノに目を見開く。
そこには。
「あはッ!アタシが一番乗りみてェだな?」
全身を黒――黒髪黒目、身に纏うのは黒いパンクファッション――に包んだ少女の姿。
「嘘…」
呆然、と目の前に現れた黒の少女を見つめる白の少女。
「はッ、嘘じゃねェよ。アタシはアンタの目の前にちゃんと居るぜ?」
呆然とする白の少女に答える黒の少女。
対称的な二人が見詰め合っていたのは果たして何れ程だったのか。
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