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駄々っ子のような声色で、流堂の肩を掴み左右に揺らす銀田。
肩を揺すられている彼、流堂は、そんな銀田に対し、曇った表情で、口角を引きつらせながら、苦笑いを浮かべるだけであった。
その様子を小野は、一歩外に離れたところで、八重歯をチラつかせ、小馬鹿にするように微笑みながら、眺めている。
そこで、今までベンチで小さく横になり、眠たげな目で一部始終を傍観していた空井正は、途中から会話に入れず彼と同じよう黙視に努めていた理空を、小さく手招きし、近づいてきた彼女の耳に、嘆息交じりでボソボソと言った。
「ダメだこいつら。こいつらが居たら会話がままならねぇ……」
「彼女たち、日本語ですら、ままならないもんねぇ」
同じことを感じていた理空は、小言でそう返事をした。
相談相手として呼び出したのにもかかわらず、長い休み時間のほとんどを蚊帳の外にいた二人は、脱力した様子で、肩をすくませた。
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