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 次の休み時間。  学生たちが昼食をとっている時間帯に、空井正(そらい ただし)は中庭にある長椅子の背もたれに背を預けて座りながら、寝癖が目立つ頭をクシャクシャッと掻き毟って呟いた。 「……それで、なぜこうなるんだよ」  そんな彼の隣には、男子学生が一人、畏まった姿勢で、落ち着きのない様子を見せながら、長椅子の端に座っている。  髪を濃いめの茶色に染めており、一見遊びが好きな男のようにも見えるけれど、その少しビクビクと物怖じしている様子から、あまり意気揚々に動き回るタイプではないことが見て取れた。  ただ、空井正(そらい ただし)はその男子学生とは何の面識もない。  力なく嘆息を吐く彼の前には、自信満々な雰囲気の理空(ことわり そら)と、またもや空井正とは何の面識もない男子学生と女子学生がいた。  こちらの男子学生は少し長めの金髪で、毛先をワックスか何かを用いて遊ばせていた。  勝気な眉の下にある瞳は自信に満ち溢れており、また何か楽しいことを求めるような、そんな現状に満足していない雰囲気をも作り出している。  女子学生の方は、自分の持っている長髪を、先ほど説明した男子学生と同じように金色に染めており、その髪をツインテールに捲いていた。  目はカラーコンタクトをつけているのか、瞳は薄く青色に染まっており、また、普通の人のものより少し大きくなっている。  口元に浮かぶ笑みは、目の前の人を小馬鹿にしているようである。  この、空井正が認知していない二人は、耳にはピアスを開けており、いかにも存分に学生生活を謳歌しているといった風であった。  その二人に理空を合わせた彼女ら三人は、期待を寄せているといった目で空井正の顔を覗き込んでいる。  現状況を理解できず困惑している空井正を可笑しそうに眺めながら、理空(ことわり そら)は彼に話しかけた。
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