3章 蒲公英(たんぽぽ)色@カンバセ―ション

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「ふふっ、そういうことか」  今まで真剣な表情を浮かべていた祁答院さんの顔が、ふと柔らかくなる。整った顔立ちから浮かべられたその綺麗な笑顔につい見蕩れていると、祁答院さんが続けて口を開いた。 「創が普通に口を利いていたからおかしいとは思っていたんだ。だが、そうか。きみのそういうところに、創は気を許したのかもな。ふふっ、面白い」  言いながら、祁答院さんは雪城さんから飲み物を一本受け取り、僕の方に向き直る。 「気に入った。お昼、まだだろう? よかったら、一緒に食べよう」  どこに気に入った部分があったのかはわからないが、当初の願いが叶う絶好のお誘いなので素直に受け、中庭の一角にある空いたベンチへと並んで腰を下ろす。 「そして、どうしてこうなった?」  どこにでもあるような、三人掛けのベンチ。なので、普通に座るとしたら僕を端にして女の子二人が並んで座る。それが普通で、というかそうしたがるものだ。
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