3章 蒲公英(たんぽぽ)色@カンバセ―ション

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 ある時、僕はじいちゃんの仕事を手伝う姉さんに訊いたことがある。 『ねぇ、本当の家族といられなくて、淋しくないの? 仕事なんかさせられて、辛くないの?』  その時の僕はまだ幼く、仕事は大人がするものだと疑わなかった。姉さんも、僕からすれば大人ではあったが、それでも中学生だ。もし、自分がその立場に立たされたらと考えると、単純に辛いと思った。だから、質問をした。  姉さんは、そんな僕に対し、今と変わらない優しい笑顔を浮かべながら答えた。 『淋しくないよ。叔父さんも叔母さんも優しいから好きだし、じっちゃんはたまにセクハラしてくるけど、持て余した私に新しい世界をくれたことに、すごく感謝している。だから、仕事も辛くない。なにより、こんなに可愛くて私のことを心配してくれる弟が出来て、とっても幸せ』
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