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思えばこの時から、姉さんは僕に優しくしてくれた。
僕からしてみれば、こんな姉さんが出来て、幸せである。内緒だけど。
「聞いてる?」
不意に、脳内で浮かんでいた昔の思い出とは違う、外側から聞こえる声が鼓膜を揺らす。
「ごめん、聞いてなかった」
「もう。なにか考え事?」
料理を運び終えた姉さんが、僕の顔を覗き込むようにしながら、首を傾げる。
「いや、そういえば、姉さんと会ってから随分と経つなぁって」
「そうだね。もう、八年かぁ。あの頃の八重ちゃんは本当に可愛かったなぁ。私、ショタでもいけるって思ったね」
どこかから取り出してきた写真をうっとりと眺めながら、そんな恐ろしいことを漏らす姉さん。その眺めている写真がなんなのか気になったので、立ち上がり覗き込んでみると、それは僕が五歳の時に撮った七五三の写真だった。
「ちょ、なんでそんなもん持ってんだよ! しかも、その時まだ出会ってねぇし!」
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