3章 蒲公英(たんぽぽ)色@カンバセ―ション

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「本当、時は残酷よね。八重ちゃん、こんなに大きくなっちゃって。声も低くなって、格好よくなっちゃって。昔は、お姉ちゃんお姉ちゃんって、可愛く私の後ろをついてきたのに」 「いつの話をしているんだよ」 「昔は、一緒にお風呂も入ってくれたし、一緒に寝てもくれたのに」 「あの頃は、小さかったから許されただけだよ。今じゃ無理」 「下ネタ?」 「下ネタじゃねぇーよ!」 「今は、大きくなったの?」 「そりゃ、成長してるから――って、なに言わすんだよ!」 「はいはい。怒らない怒らない」  言いながら、姉さんが手を伸ばしてき僕の頭を優しく撫でてくれる。撫でられるのは心地いいし、特に姉さんからだと落ち着くので昔から好きではあるが、やはりこの歳になると恥ずかしさが表だってくる。
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