3章 蒲公英(たんぽぽ)色@カンバセ―ション

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 訳のわからないことを言いながら、完全に体を僕から逸らすように横へと向け目さえ合わせようとしない姉さん。これまで幾度となく不貞腐れた姉さんの相手をしてきたが、今日のはまた輪をかけて面倒くさい。  ひとまず、ご飯を食べ進めながら、姉さんの機嫌を回復させる方法を模索していく。  恐らく最も怒っているのは、無音さんと姉弟という関係であるフリをすることに関してだろう。もちろん姉さんだって、そんなことで僕たちの姉弟関係が崩れるなんて思っていないし、変わるなんて思ってはいない。  それでも、姉さんも色々なことを経験し、色々なことを乗り越えてここにいて、僕と一緒に過ごしているから、理屈ではどうにもならないものがあるのだろう。理屈ではどうにもならないから、中途半端な形となってしまい、結果子供のように拗ねることしか出来なくなってしまう。  こういう場合は、僕がやることは一つしかない。  理屈ではどうにもならないことは、こちらも理屈は抜きにして本心から、気持ちを伝える。僕にしか紡げない言葉で、届けるしかない。
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