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姉さんをきちんと見つめながら、言葉を繋ぐ。恥ずかしいからと目を逸らせば、逸らした分だけ誠意が分散して、拡散して、届かなくなるから。
「僕の姉さんは、姉さんだけだよ。だって姉弟って、過ごした時間と、積み上げた思い出と、その二つからなるなににも負けない信頼が生み出すものだろ? 血の繋がりなんか関係ない。書類上の事実なんか、関係ない。大切なのは、僕の姉さんは、僕が姉さんだと思っているのは、老神桔梗。ただ一人ってことだよ」
言い終えたところで、姉さんがゆっくりと顔を上げる。その顔には、なんとも表現し辛い表情。嬉しさが隠せていないような、面白さが滲み出てきそうな、感動が溢れ出しそうな、そんな表情。
そんな表情の姉さんが、こちらへと完全に体を向け、テーブルの下から四角いなにかを取り出し僕の目の前に静かに置いた。
それは、どこからどう見ても小型のボイスレコーダー。
――って。
「ちょ!」
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