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気付いた時にはもう遅く、再生ボタンを押されたそのレコーダーからは、僕が先程まで話していた恥ずかしい言葉の数々が一言一句違うことなく流れてくる。
普段聴き慣れない自分の声。真剣な様子から伝えられる想いが、僕の羞恥心へ直接攻撃を繰り出してくる。
「まさか、不貞腐れたフリをしていたの?」
恨めしい視線で、姉さんを見つめる。
「ううん。不貞腐れていたのは本当。だから、きっと八重ちゃん、私を宥める為に格好良いこと言ってくれるかなって、構えてた」
「たち悪いなぁ!」
言うと姉さんは、楽しそうな表情を浮かべながらレコーダーをポケットにしまう。
「でも、嬉しかったよ。ごめんね、不貞腐れて。そして、お姉ちゃんのこと、お姉ちゃんって言ってくれてありがとう」
柔らかい笑顔で、ほっとしていることが、安心していることが伝わってくる。
これくらい、お安い御用だ。
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