第1章

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私は電車を降り、家路をたどった ほぼ中間地点になったとき、もうとっくの昔に日は沈み真っ暗の中だったが、自転車に乗った男の人が数メートル先に見えた まあ特別何も思わず歩いていたが、私から見て右斜め前の自動販売機で、その男は止まったのだ それでも特別何も思わなかったのだが、私の数メートル先で止まった男は、なんと自動販売機に手を伸ばした ここまでは別に、不思議でもなんでもありません しかしその男は平然を装い、(これは私の偏見ですが)お金も入れずにただ自動販売機のどこかを触っただけだった どこかというのは、その男は数メートル先ですし暗かったので目では見えなかったが、私の耳はしかと聞いた カタッ、タ…… 何の音かお分かりでしょうか そう、自動販売機の下の方にある、返却された小銭を取るあの場所だった それまで私は口を開いてはいなかったが、本当の意味で無言になった
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