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やっと任務が終えて一息ついてたのもつかの間、優からの連絡が入り足早に屋敷へと戻っている。
俺の留守中に聡がまた使用人に虐められたらしい。
聡と道星は使用人から毛嫌いされているので目を離すとたまにこういったことが起こる。
今回はどんな嫌がらせをされたのか、そんなことばかりが脳内を巡る。5日ぶりの帰還なのに気分的には最悪な帰り道となった。
自分と聡の部屋の前に着き、1度呼吸を整えてから一応コンコン、と部屋をノックする。
返事はない、かまわず開けてしまおう。
「聡」
聡はベッドに突っ伏したままこちらを見ない。
まぁ、いつもの事だ。
「聡、すまなかった。今回の任務もやはり聡を連れて行くべきだった。」
ベッド脇に腰掛け、そっと布団をめくる。
そこには見るからに不機嫌そうな仏頂面があった。
いつもと違うのは頬に青あざがあるということ。
「聡、そのあざは、」
「…2日で終わらせてくるって言っただろ」
「…すまない、思ったより手こずった。聡。使用人からまた手を出されたと優から聞いた。そのあざもそうか?」
「そうだよ。あいつらいきなり人のこととっ捕まえて好き放題殴り蹴り好き放題やってくれたよ。おかげで最悪な気分だ。」
手当がされていないあたり、またいつものように手当を断って部屋に閉じこもったのだろう。
「…痛いか?」
怒られるのを承知で聡を抱き起こす。
が、思ったような反応…というかむしろ反応すらなかった。
「珍しく触っても嫌がらないんだな聡」
少しこちらを睨んだ後聡は相変わらずの仏頂面で口を開く。
「嫌がりたくても身体が痛くて動かない」
「…聡」
「うるさい。抱いてたいなら黙ってろ」
「聡」
「うるさいっていってるだろ」
「怖かったか?」
沈黙。聡は答えない。
「本当にすまなかった。」
「…そうだよ、お前が居なかったせいでこんな目にあった。2日って言ったくせに帰って来ないし、優も連絡ないって言うし、ついにどっかで死んでるのかと思ったよ。」
周りから見たらただの悪態に聞こえるかもしれない。
「心配させて、心細くさせて悪かった。今日からまた一緒に居られる、ずっと傍にいよう。」
「豺。僕は」
言いかけたまま聡は俺の首元に顔を埋めたまましばらく口を開かなかった。
「ただいま聡。」
「…おかえり、」
さて、あとで使用人をこらしめに行こう。
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