第4章 シンさんとの出会い

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 自分でも見違えるほど垢抜けて、まるでカタログに載っているモデルのようだ。  どうしてか髪質まで変わってしまったようで、つやつやと光って天使の輪ができている。 (たったあれだけのカットで、ここまで変化させるなんて、この人は魔法使いか?)  本気でそう思って、私は急いで鏡の中のシンさんに視線を移した。  その時、シンさんが顔をくしゃくしゃにして、少年のように屈託のない笑顔を見せた。  その煌めきに、私は軽く目眩を覚えた。 (ああ)  アリスが不思議の国へといざなわれた時も、こんな感じではなかったろうか。  私は踏み行った先にあった予期せぬ穴に、 すっぽりと落ちるように、 無防備だった自分を呪う間もなく、 あっけなく恋に落ちてしまった。
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