壊される夜ー1

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「……まただよ。今日はいつもに増して回数多くない?」 隣席の梨香子がパソコンを打ちながらコソッと私に囁いた。 梨香子がチラリと目をやったのは、ポーチを手に席を立つ小椋さんの後ろ姿。 「仕事もあれぐらい熱心にやってくれたら助かるのに」 篠田に王子マニア呼ばわりされてから一週間後の金曜日。 今日はまた新年会だ。 宴会好きの海事は全体での新年会とは別に、個別部署でも行う。 今年は部長同士が仲良しということもあり、日時がかぶったという事情もあり、アジア部と米州部が合同で新年会をやることになった。 年末年始の金曜は他社入り乱れて近隣の店の争奪戦となるから、幹事も大変だろう。 「見た?携帯用のホットカーラー持ってたの。仕事中だってのに」 今でも十分気合いの入った巻き髪の、これ以上どこを巻くというのだろう?髪が気の毒になる。 「あれはやっぱり篠田君狙いよ。 この間、バレンタインまでに篠田君を落とすとか豪語してたから」 「ふーん…」 彼女持ちの篠田はどう対処するのだろう。 私の時みたいにかまわず関係持つとか? ああいやだ! なんて無節操な男なの? 勝手な想像で嫌悪感を募らせる。
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