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「あーあ、私も行きたいなぁ。
あの気合いの結末がどうなるか見たいわ」
妊娠中の梨香子は、年末年始の飲み会は全て欠席だ。
かなりの飲んべえだから、
誘惑に耐える自信がないらしい。
「美紀、観察して教えてよ」
「嫌よ。私は勝手に飲むから」
「あーあ、お酒飲みたいなぁ」
「いいかげん諦めなさいって」
でも、泣きたいのは梨香子より私の方だ。
だって、今日はアジア部のプロジェクト仲間ということで、経企室の担当者二人も招かれている。
つまり、
怜とその婚約者の深沢佳乃さん。
怜と深沢さんの交際は社内では極秘なので、知っているのは梨香子ぐらいだろう。
ただ、私の失恋を言い当てた篠田もおそらく二人の交際を知っているはずだ。
婚約までは知らないだろうけど。
元彼カップルと私。
ここまではまだいい。
普段だって一緒に仕事しているし、二人がやりやすいよう努力しているつもりだ。
問題なのは、
それをひそかに冷笑する篠田。
全員が一堂に会するこのシチュエーションを耐えなければならないなんて、せめて気の合う梨香子がいれば紛れるのに。
さらに派手な巻き髪で戻ってきた呑気な小椋さんを見ながら溜め息をついた。
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