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宴会場は既に混沌とした大騒ぎになっていた。
「はい亀岡さん、グラス。
これ多分大丈夫だ」
まったく、持って歩けばいいのに、どうして移動した先々でグラスを使うのだろう?
なんとか未使用らしきグラスを見つけて隅っこの席に課長と落ち着いたところで、運悪く幹事に見つかった。
「羽鳥課長、亀岡主任、お疲れさまでーす!改めてカンパーイ!」
遅れて来たせいで余計に目立ってしまったことに内心苦笑しながら、笑顔で皆に向かって乾杯した。
課長と二人で遅刻なんて、きっと篠田はまた変な邪推をするに違いない。
首を伸ばして敵の姿を見つけた私は、思わず二度見した。
篠田の両側を、どこからわいて出たのか、いつかの管理部女子とその協力者らしき女子がガッチリ固めていた。
「なんで管理部の子がいるの?」
「よく分からないけど飛び入りみたいですよ」
近くの男性社員に聞くとそんな説明だったけれど、あれは間違いなく計画的犯行だろう。
じゃあ、小椋さんは?
興味半分にキョロキョロすると、小椋さんが少し離れた席で管理部女子を不機嫌そうに睨み付けているのが見えた。
つい笑いそうになるのをグラスに口をつけてごまかす。
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